鹿児島にあるラーメン屋『海乃屋』が閉店しました。海乃屋は谷山にひっそりと佇むラーメン屋で地元民に永く愛されている老舗でした。私はここのラーメンが日本で1番美味しいと思っていました。
大将は高齢だったのでいつかはこういう日が来ると覚悟していましたが、ただただ悲しい思いです。海乃屋がこのまま皆さんの記憶がから薄れていくことが寂しいので、ネット上に在りし日の海乃屋の記事をここに残します。
ラーメン専門『海乃屋』
海乃屋は鹿児島市街地から2,30分離れた谷山電停の近くの路地裏にありました。もう何十年もこの地で店を構えていて外観も店内も昭和の香りが漂うお店でした。
私にとって海乃屋は日本一美味しいラーメン屋でした
海乃屋のラーメンは個人的には鹿児島で1番美味しいラーメン屋でした。いや、日本で1番美味しいラーメン屋でした。私は大将が作るラーメンが大好きで、海乃屋のラーメンを食べるためだけに東京からせっせと通ったこともあります。海外で20年以上暮らしていた時も、帰国する度に大将のラーメンを食べることが1番の楽しみでした。営業しているかどうかがいつも心配で暖簾が出ているとほっとしたものです。
私が最後に海乃屋を訪れたのは2019年2月。親父さんも恐らく80歳を超える高齢になり昔みたいな仕事は出来なくなっており、もの凄くゆっくりとしたペースでラーメンを作っていました。それもたった一人で。もう見ているこっちが心配になる程の動きだったのを覚えています。
なので当然麺は伸びる。だが、それは織り込み済みで文句を言うお客さんは一人もいない。麺が伸びてるとか、スープがいつもと違うとか、チャーシューがたまに酸っぱいとか、もうそんな次元で評価するお店ではありませんでした。誰もが大将の作るラーメンを食べられるだけで幸せを感じていたと思います。
2019年4月に再度訪問した時はすでに閉店していました。私が最後に訪れて2か月後のことです。ご自分のことではなく食べに来てくれるお客さんの為に最後まで厨房に立ち続けてラーメンを作っていたのでしょう。
高齢なのにずっと立ちっぱなしの作業はかなりしんどかったはず。もう引退しても生活には困らないはず。なのにお客さんの為に頑張って営業してくれていました。海乃屋のラーメンは親父さんの愛を感じずにはいられない優しい一杯でした。
大将、今までご苦労様でした。そして、美味しいラーメンをありがとうございました。ご冥福を心からお祈りいたします。
最後に食べたラーメン 700円
ビジュアルは王道の鹿児島ラーメン。中太ストレート麺に具材はもやし、キャベツ、ネギ、チャーシュー。加えて鹿児島ラーメンにはマストの焦がしネギが添えられる。この焦がしネギがアクセントになって美味しさが倍増します。
海乃屋のスープは特筆に値します。まろやかでふくよかでとにかく旨い。豚骨と鶏ガラの配分が絶妙でコクがあるのにあっさりとした素晴らしいスープです。甘めの鹿児島醤油を使っているからだろうか、まろやかな甘味が癖になりついついスープを飲み干してしまう。
チャーシューは脂身が少ない部位でしっかりとした歯ごたえがある。たまに酸っぱい時もあるがそれはご愛嬌です。
麺は中太ストレート麺。海乃屋では器にスープを入れてから麺を入れるのではなく、器に麺を入れてから最後にスープを入れるスタイル。早めに茹で上がった麺は少々柔らかめに仕上がっている。時には親父さんの動きがスロー過ぎてデロデロになってたりするけど、これもご愛嬌です。
鹿児島ラーメンと言えば大根の漬物です。てんこ盛りで出てきます。なくなると大将がもっと食べんねと追加してくれました。
この記事を見ている方へ
この記事を見ている方は海乃屋の閉店について知りたくてアクセスしてきた方だと思います。ネット上でも閉店の情報はあまりないので、この記事がファンの方とシェア出来れば幸いです。海乃屋がこのまま皆さんの記憶がから薄れていくことが寂しいので、ネット上に在りし日の海乃屋の記事をここに残します。